Work & PeopleNDKの仕事と人

座談会

INTERVIEW

価値創出に挑む、喜びを語ろう

「Qu-Artz」プロジェクト

社員一人ひとりが持つアイデアを尊重し技術にさらなる磨きをかける。次代に求められる価値を創り出す。
社内のイノベーション創出プロジェクト「Qu-Artz」は、NDKの中で新しいものを生み出しやすい風土づくりを目的とし、その象徴であり、より柔軟な組織への進化を促すものだ。同プロジェクトに参画し、価値創造に挑み続ける社員たちがこの活動に向き合う意義ややりがいを語り合う。

Qu-Artzとは

Qu-Artzは、ボトムアップ方式のイノベーション創出プロジェクトチーム。有志の社員を中心に、新規事業創出・事業化検討・営業活動の三つのチームで構成。NDKが掲げる4つの志(行動指針)「品質、挑戦、チームワーク、主体性」を体現する活動として、それぞれのチームが有機的に連携しながら、新たな事業やこれまでにない価値の創出を目指している。チーム名には、企業活動の原点である「水晶(Quartz)」から、巧みな技術(Art)で「新しいコト」を創造するという想いが込められている。

価値創造の風土を
この手で進化させる

――まずは「Qu-Artz」発足の経緯について教えてください。

Mさん NDKは70年を超える歴史を持つ企業です。その卓越した技術は、社会になくてはならない価値を生み出しています。しかし、これまでに培ってきたものに甘んじてしまっては、私たちに未来はありません。さらに挑み続ける姿勢を忘れないこと。変化を恐れることなく、新たな価値を創造していくこと。その風土を現場の社員自らの手でつくっていくために生まれたのが、この「Qu-Artz」プロジェクトです。新規事業創出を担う部門において、「普段は真面目に見えるけれど、実は面白い特技や発想を持っている社員がいるのでは?」「本業とは異なる領域で挑戦したいことがあるのでは?」という仮説からアイデアが生まれ、社員の多様な才能や情熱を引き出す、若手社員を中心とした自発的な活動の場として立ち上げられました。「Qu-Artz」には、部門を横断してメンバーが集まっています。

――プロジェクトの公募を見たときの心境を教えてください。

Yさん とにかくワクワクしたというのが本音です。「何か新しいことがはじまりそう」。そんな期待感でいっぱいでした。日々の業務の中で、「水晶デバイスの需要は高まっているが、会社のさらなる発展のためには、新たなアプローチが必要だ」と感じていました。そのため、通常業務外の活動ではあるものの、「これはやる価値がある」と参加を即決しました。Hさんはどうでしたか?

Hさん もともと「Qu-Artz」は技術者を対象に始まったプロジェクトでしたが、セミナーに参加して、新たなメンバーを募集していると聞いたとき、心が動かされました。「業務とは関係なく、新しいことにチャレンジしてみたい」。その気持ちが参画の決め手でしたね。技術者とは違う営業の視点を活かすことで、今までにない価値を生み出していきたいと考えました。

Mさん 専門的な話ができるのは自分をはじめとした技術のメンバーですが、営業の人たちは、私たち技術者では思いつかないアイデアを持っていますよね。その点は、技術者である私たちにとって大きな刺激になっています。私自身も、このプロジェクトの募集を見たときに、参画することを即決しましたが、その理由は、自らの経験や技術をもっと活かしたいと考えていたからです。何かを新しく切り拓く経験が、技術者として成長するこの上ない機会になるはずだと考えました。

新規事業創出チーム
Mさん
技術
2018年入社 電気電子システム工学専攻
普段は技術部門で、主に車載向け水晶振動子の設計、開発業務を担当。

フラットなチームで
やりたいことを突き詰める

――チームそれぞれの役割と具体的な活動について教えてください。

Yさん 私が所属する事業化検討チームは、シーズを起点に新たな事業を考えるチームです。NDKが現在保有している技術および製品を把握した上で、そこから発展させた製品を創れないか、新たに参入できる市場がないかを模索しています。NDKは車載市場向けの製品に強みがありますが、事業化検討チームとしては、超音波製品やQCMセンサなど、現在の主力である水晶デバイス以外の製品に注目しています。これらの製品から新しいビジネスモデルを創出したいと思っているんです。一方、Mさんの新規事業創出チームは、私たちとはまるでアプローチが異なりますよね。

Mさん そうですね。私たちは、NDKの現行事業を一旦忘れ、社会課題などのニーズを起点にゼロから事業を生み出していくチーム。現在は、社会課題に着目した新規事業案を考え検証作業を進めています。たとえば、ひとつのテーマとして挙げられたのが、現代社会が抱える睡眠の質向上へのアプローチ。私たちの技術で、その解決に貢献できないかを考えています。ゼロから新規事業案を生み出し、成長させるには最初のアイデアが重要。これまでのエンジニアとしての知識経験をフル活用した提案ができるよう意識しています。

Hさん 営業活動チームは、「Qu-Artz」活動を内外へ発信し、これまでにないコラボレーションを実現する窓口役。各研究機関や外部企業とのつながりをつくり、イノベーションの実現に貢献しようと考えています。大学が実施する社会課題解決プロジェクトや、各種展示会への参加は、その代表的な取り組み。これまでの常識にとらわれない視点で物事を提案していくことを心掛けているんです。

Mさん 「Qu-Artz」の特徴は、それぞれのチームが、有機的に連携しているところですよね。私自身、いろいろなチームの議論に参加する機会があるけれど、「Qu-Artz」ではとにかくフラットに議論が交わされている。とくにYさんは、チーム内では一番の若手なのに、とにかく積極的に意見を出しているでしょう?

Yさん そうかもしれません(笑)。「Qu-Artz」には、若手だけでなく、ベテランの社員も参画していますが、先輩たちがフラットな関係を自然につくってくれていることが、大きい気がします。

Hさん これまで本業では関わりの少なかった人たちと様々な議論ができる。それが、自らの視野と機会を大きく広げてくれている。「Qu-Artz」はそんな成長の場にもなっているし、「新しいことにチャレンジしたい人」が輝ける場所になっていると思います。

Yさん そうかもしれません。私自身、営業活動チームが手掛ける大学との共同プロジェクトに参画することで、他の参画団体とのご縁をいただき、「NDKの技術を使って、社会課題を解決できないか」という相談を受けました。その瞬間は、確かな手ごたえと期待感を抱いたものです。

Hさん 「Qu-Artz」は、まだ発足したばかりのプロジェクトですが、たくさんのアイデアや種が生まれていますよね。さらには、「絵に描いた餅」で終わることなく、実際に手を動かし、試作を行うなどの具体的なアクションも生まれています。

Mさん これまで、製品製造の過程で捨ててしまっていた水晶の廃材を再利用する取り組みは、その代表的な例ですね。まだ事業化できるかはわからないので、具体的に何をつくっているかは言えませんが、この取り組みを通じて確かな手ごたえを感じることができました。

事業化検討チーム
Yさん 
営業
2023年入社 法学部
普段は、海外営業部門で、主に韓国市場の顧客対応を担う。
営業活動チーム
Hさん 
営業
2018年入社 法学部
普段は、海外営業部門で、車載向け顧客の需要予測と実績管理を担当。

困難を乗り越え
さらなる成長を遂げる

Hさん 「Qu-Artz」の活動において、もっとも苦労するのは、時間リソースが不足することですよね。本来の担当業務をしながら、どうやってアイデアをかたちにするのか。新たな事業や価値を考えることって、本来ならどれだけ時間をかけても足りないくらいの難しさがありますから。

Yさん そうですね。新規事業創出だけがミッションであれば、そこにすべてを懸けることができるけれど、営業としての業務をしながらだとどうしてもスピード感が鈍ってしまう。アイデアを出すだけでなく、実現に向けた市場調査も必要になりますから、リソース不足にジレンマを抱えてしまいますね。

Mさん 新規事業創出は、現在の事業と関連性のない部分から話がスタートするため、進むべきテーマを見つけることだけでも難しい。さらに、一人ひとりで「やりたいこと」も違うわけじゃないですか。限られたリソースの中で、興味のあることをすべてやるわけにはいかないため、意見の食い違いには苦労させられます。真っ向から対立することも多いですから......。

Hさん そうですね。で、たまに険悪な空気になるという(笑)。

Mさん そうそう(笑)。でも、そうなるのも、みんなが新規事業創出にそれだけ真剣だということ。「自分のやりたいこと」を実現するために、そのポテンシャルや実現性をきちんと説明するスキルが必要になりますね。

Yさん そうした経験も含めてですが、「Qu-Artz」の活動って、本来の業務に好影響を与えてくれていますよね。たとえば、これまではお客様のニーズを引き出すことはできていても、周囲の環境や社会の動きまでを考慮した営業を積極的にできていなかった。お客様関連のニュースは毎日チェックしていましたが、それ以外のニュースや情報を目にしたときも、「これって新規事業の種になるのでは?お客様の事業とも実は関連性があるのでは?」と、様々な発想が浮かぶようになりましたし。

Hさん 会社に入って、仕事をしていると、どうしてもその常識の範囲でものごとを考えがちになりますよね。私自身、大学や他の企業の関係者とのつながりから、「こんな世界もあるんだ」と大きな刺激を受けているんです。そもそも前例の全く無いプロジェクトを何人もの人数で話し合って決めていくというプロセス自体あまり経験がありませんでした。会議の進め方から、意見の食い違いがあった時の進め方など、勉強になることは多いし、さまざまな発見と成長があったと思います。

Mさん 普段経験している確立された仕事のプロセスと、ゼロから何かを生み出していくプロセスはまったく違うものです。メンバー間の多様な知識・経験を結集させ、プロジェクトを推進すること自体が自分にとって大きな財産になっていると感じます。メンバー同士でも個々で、尖っている部分はそれぞれ違うし、そこで触れたアイデアや技術的なアプローチが自分の仕事にフィードバックされているとも感じています。その新鮮さ・やりがいが、技術者としての可能性を大きく広げてくれたことは間違いありません。

利益を出すことで
歴史と常識を変える

――最後に今後の展望・目標を教えてください。

Yさん 目標は、確かな成果を出し、四半世紀後に出るであろうNDK100年史に載ることです。「Qu-Artz」をNDKの歴史にしたいんです。この活動を通じて、社内外問わず「NDKはこれからますます発展していくだろう」と思っていただけるような話題や技術をアピールしていきたいですね。

Hさん 新規事業を発見し、プロジェクトを推進し、事業化する。まずは、そのプロセスを成功させることです。新たな知見や取り組みをどんどん取り入れて、社内へ新しい風を吹かせていきたいと考えています。最終的なアウトプットは、製品なのか、システムなのかはわかりません。目指すのは、社会のノーマルスタンダードをつくること。私たちが手掛けたイノベーションが社会の常識になる。そんな価値を実現できたら、それ以上に素敵なことはないと思っています。

Mさん NDKの歴史をつくる。社会の常識を変える。そのためにも、私は「会社の利益になること」が何よりも大切だと思っています。100年近い歴史を持ちながら本業以外のビジネスをゼロから立ち上げ、さらなる発展を遂げるのは大変困難ですが、とても挑戦しがいのあることです。それを成し遂げるためには、私たちの活動を「Qu-Artz」内だけのもので終わらせることなく、他部門の皆さんの理解と協力を得て、ビジネスとして展開していく必要があります。従来の慣習を破壊し、全社が一丸となって新たな価値創出に向き合っていく。そのための第一歩が「Qu-Artz」なのだと考えています。